◆本の紹介◆

 昭和の戦争記念館

 歴史パノラマ写真集、世界に開かれた昭和の戦争記念館
 名越ニ荒之助編集全五巻
 発行所 展転社(定価2800円+税)
 〒113−0033 東京都文京区本郷1-28-36
 電話 03-3815-0721
 FAX 03-3815-0786

写真集「世界に開かれた昭和の戦争記念館」第一回配本

 第三巻 大東亜戦争の秘話 −恩讐の彼方−

日本と米・英・独・伊に咲いた武士道

満を持して第2回配本ついに刊行!

写真集「世界に開かれた昭和の戦争記念館」
第4巻 大東亜戦争その後
−世界の遺産−
波はアジア太平洋からアフリカへ

板垣 正著
「靖国公式参拝の総括」
■展転社刊
■定価2000円


 思い出すと、中曽根首相が靖国神社に公式参拝したのは15年前、昭和60年8月15日のことだった。
 以来、首相靖国神社への公式参拝はいちども行われていない。
 戦後55年、20世紀最後の年、平成12年の終戦記念の日も、森首相は外交的配慮からと称して、あっさり参拝を見送った。
 しかし、森内閣閣僚10人が参拝(公式参拝と明言したのは三閣僚)し、また石原、東京都知事は堂々と公式参拝を行った。
 なぜ、一国の総理が殉国の英霊の英霊鎮まる靖国神社へ参拝しないのか。
 この問題を徹底検証し、総括したのが本書である。
 著者の板垣氏は陸士58期出身、シベリア抑留から帰国、昭和32年から日本遺族会に23年間勤務、同会事務局長を勤めた。
 昭和55年、参議院議員として初当選、以来、自由民主党に所属し、3期18年在職、平成10年7月引退した。
 この間、靖国、憲法、防衛、歴史、教育などの国の基本にかかわる問題に取り組んだが、最大の懸案は、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝の実現と定着であった。
 その懸案は冒頭に記したとおり、中曽根首相によって実現された。
 しかし、その喜びも束の間、はげしい内外の逆風によって、その後の首相公式参拝は挫折、中断したままである。
 著者は、職員在職中、靖国公式参拝の実現を悲願として、国会議員で組織する靖国関係三協議会の要、事務局長として、文字通り精魂を傾けた。
 手順をふみ、さまざまな障害を乗り越え、政府の公式参拝是認の方針を導き出し、実現に漕ぎつけた。
 そして挫折 ――。
 引退後、2年がかりで膨大な諸資料、記録を整理し、その経緯、事実をくわしくまとめたのが、本書である。
 まさに、靖国問題の全記録、戦後日本政治の一断面の縮図ともいうべきもの。
 とくに、中曽根首相の決断で折角実現した公式参拝がまたたく間に挫折したのか。
 中国の"黒い影"それに呼応した国内の反靖国マスコミや反対勢力によって腰くだけとなった背景を鋭く衝いている。
 本書の「むすび」で、著者は日本人の心と歴史の真実を伝える史実として、熱海・伊豆山の興亜観音にまつわる松井石根大将の物語りを紹介している。
 戦後、奉仕と奉賛会、さらにここ数年、興亜観音を守る会によって苦難の中、守り抜かれてきた事実を高く評価している。
 靖国公式参拝問題については、若い世代はほとんど知らない。
 本書が、若い人たちに読まれ、理解されることを心から願いたい。
 (興亜観音を守る会会員、長田達三)


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