老年の自覚と責務

長塚 国雄氏近影

長塚 国雄(守る会会員)


 偉大な日本の理想「アジアの解放独立」のために戦い、死をもって遂に達成した殉国七士並びに日支両国の勇士が眠るここ熱海市の霊場興亜観音で、今年もまた盛大且(かつ)粛々と国主催の例祭及び総会が挙行された。
 と世が世であったら大きな写真入りの各新聞記事や放映で賑々しく報道したであろう。
 しかしわが国の現実は、田中会長の著書「国亡ぼす勿れ」の如く内部崩壊の危機を孕(はら)む厳しいもので、老年の自覚と責務が痛感されること実に切なるものがある。

一、自覚

 老年期に入って健康で元気で過ごせるほど有り難く思うことはない。
 自分の身体は自分で守り管理することは当然のことであり、日常節制を保ち、暴飲暴食せず自分のことは何でも自分でする。
 ひとに頼らないおっくうがらず体を動かす。
 自分に合った行動とリズムを守り、政治経済世事に常に関心を持ち、よく読み、聞き、見る。
 そして語らねばならない。
 ひとのため社会のために、自分の体験を生かして何か役立ちたいといつも思考して実践する。
 自分流の計画を立て希望と目的と楽しみを作り、同好同志の会を通じて絶えず向上心を持ち勉強する意欲を持ちたい。
 健康であることが自分や家族、地域社会、国家のために心痛や負担をかけず、みんなのためになることを思い素直に喜び感謝したい。

ニ、責務

 私達老年は戦前戦後の激動の時代を体験した生証人で先がもう短い。
 いまこれまでの体験や真実を子や孫、これから日本を背負う若い人達に語り継ぎ、書き残し出来るだけ多くの証拠を収集しておかなけらば、東京裁判の南京大虐殺のようなデッチ上げの作り話、戦犯処刑のためのウソの罪状が事実のように化けて、天地神明にちかっても事実無根なのに、謝罪外交が未来永劫に続くことになる。
 ゆがめられた歴史の真実を愛する家族や地域社会、国家のために本当のことはこうなんだと、しっかりと理解されなければならない責務がある。
 日清講和条約で遼東半島を譲渡すると約束し、その裏で三国干渉を誘引して取戻した支那の背信的裏切りの性格は今も変わらず、どれほど日支関係を害し紛議を生んだか計り知れない。
 日露戦争に大勝し、中国領土でもない満州に五族協和、横道楽土の理想を掲げて友好満州国を建設した日本を、うやみねたんだ米国は日独伊三国同盟を結んだのに憤慨敵視し、勝手に日米通商航海条約を破棄した。
 鉄くずや石油の対日輸出を中止し、米英中蘭のABCD包囲網を作り経済的打撃を与え、策略と徴発をめぐらし満州全面撤退を要求してハルノートをつきつけた。
 日本が戦争をし掛けたように見せかける徴発をくりかえし、真珠湾攻撃も暗号を解読されていた日本が策略に掛かったものだった。
 米空軍の本土爆撃や広島、長崎の原爆投下は人道上許し難い非道極まりないもので、東京裁判で東郷被告の弁護人となった米国の少佐ブレークニーは、この裁判はまず原爆投下を許可し指揮した者を裁くべきではないか。
 と、裁判長につめより、キーナン主席検事は「それでも君は米国陸軍軍人か・・・」と大声で制止激怒し一時休廷した。
 判事11人中ただ1人インドのパール法学博士は、国際法慣習法に照らしてこの報復裁判は無効、直ちに被告全員を釈放せよと主張したが受け容れられず執行された。
 この裁判のすべてを仕切ったマッカーサーも昭和26(1951)年5月アメリカ上院外交委員会で、日本は自存自衛と国土防衛の戦いであったと報告し、侵略国でないことを証言している。
 この戦いで東南アジア諸国は、日本が莫大な犠牲をはらって白人達から植民地解放、人種差別解除、奴隷解放をしてくれたおかげで独立できたと感謝されているのである。
 東京裁判から7年間に及ぶ占領政策は、すべてGHQの統制のもと許可なしでは行えず、徹底的に国体解剖され改造弱体化、教育権も奪われたため、独立したとはいえ未だ占領下の気風が残り、米国に依存している。
 これらの事実を正しく子供達に伝え、みんなが認識して犯罪国にされた東京裁判史観を打破覚醒しなくてはならない。
 春夏秋冬四季の変化の世界一美しい祖国は、伝統ある神の国である。
 先人達の殉国の教えを胸に、誇りと気概をもって世界をリードする大志を持たなくてはならない。


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