パール判事の日本無罪論

長塚 國雄
守る会会員、書道家

 ふらふらとやっとの思いでたどりついた我が家の玄関で、ただ今帰りましたァーと言ったら真っ先に出てきた3歳の弟が幽霊だァー、姉ちゃんの幽霊が来たァーとおびえた声で叫んで部屋中を逃げ回った。
 広島に続き新型爆弾で長崎も壊滅したというニュースで、みんなあの娘も死んだんだと噂していたのである。
 学徒動員として熊本師範から派遣され被爆したがかろうじて助かり、この世の地獄を見つつ恐怖と落胆と、着の身、着のままで疲れ切って帰宅した妻は、丸2日間眠り続けたという。
 8年前の夏、長崎の原爆慰霊式に出席し、資料館での悲惨さ、残虐さに驚愕すると共に、一般市民をこんなひどい目に・・・人道上、許し難いと激しい怒りと憎しみが込み上げた。
 区立図書館で『長崎の鐘』(永井隆著)と『東京裁判とは何か』(田中正明著)の2冊を読んだ。
 放射線医師が想像もつかぬ光線を浴びながら、死んで行く患者を診て回りその記録をし、倒れて病床につき2人の幼子を案じつつ、悲惨な原爆の現実をつづる姿を思い涙した。
 一方、膨大な裁判記録をもとに書かれた東京裁判とは何かは、秩序ある皇軍の戦い振りと、全くデタラメで一方的な裁判の模様を詳細につづられたもので、ああ本当はこうだったのかと覚醒の思いと、こんな大作を・・・苦労されたであろうと著者の田中先生に手紙を書いた。
 これが興亜観音を守る会を知ったゆえんである。
 産経新聞で『パール博士の日本無罪論』(田中正明著)が発売されたことを知った。
 小学館から携帯便利な文庫本で560円の安価である。
 気軽に入手でき、特に若い人達に読んでもらう為に・・・とある。
 早速求めて読んだが救国覚醒を促すまさに国民必読の本である。
 物々しい厳戒、重苦しい法廷の空気の中、開廷のたびに被告席に向かって合掌一礼して、着席するひとりの判事がいた。
 それは釈尊の再来かと思われる姿であった。
 その人の名はインド代表ラダ・ビノード・パル判事、11人の判事中ただ1人の国際法学博士である。
 国際法慣習法に照らして戦争は犯罪ではない。
 日本は無罪だ。
 リンチ的復讐裁判は直ちに止めて全被告を釈放せよ、と強く抗議し法の真理を説き続けた。
 しかし容れられず1068人が戦犯という濡れ衣を着せられて処刑された。
 侵略国、犯罪国の汚名を吹聴され、7年間もの日本弱体化を図って占領政策が続き、押し付けの憲法、民主主義という教育で歴史を消され、倫理道徳は退廃した。
 そして裁判のすべてを仕切ったマッカーサーは解任帰国後、この裁判は間違いだったと告白。
 日本は自尊自衛のための戦いで侵略国ではなかったと、戦争を原爆投下を東京裁判を企て実行させたトルーマン大統領と議会に報告して程なく逝った。
 パール判事(博士)は、日本の戦いは自衛の為の戦いであった。
 決して悪いことはしていない。
 被爆を含む莫大な犠牲を払って、白人に植民地化されたアジア諸国を解放独立させ、人種差別を無くしてくれて感謝するべきだ・・・と。
 その判決文には日本の18年間の歴史を2年8ヶ月を掛けて調べた戦争の起因、裁判の不当性を詳細に立証しつつ綴られ、これを読んで事実を知り歴代首相の謝罪を撤回し、洗脳されたウソの呪縛を解き、自信と勇気を持って自主独立の国家再建に取り組めと励まし、真実を言い残して世を去った。
 ありがとうパール博士。
 きっと正しい明るい日本、世界をリードする日本をつくらなければならない。


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