「松井石根研究会」の必要性について


松井石根大将が不当な東京裁判で刑死されて、今年が54年目に当たります。

早瀬利之
早瀬利之さん近影

早瀬利之「将軍の真実」(光人社)表紙 以前私は、「将軍の真実」(光人社刊)を出版致しましたが、その後、若い20代の読者から「東京裁判の事は知っているが、なぜ日本は中国と戦争したんですか。分からないのです」との問い合わせがありました。
 実は、この作品の中で、孫文との関わりを書いていたのですが、枚数の関係で、約300枚分削りました。
 削った所は、特に満州事変以前も含めた、日本と孫文との関係です。
 この部分を削り、上海事変・南京事件にウエイトを置いてしまいました。
 素人の私が、資料をもとに、ノンフィクションライターの眼で、一般読者、特に若い読者、学生向きに書いたのですが、残念ながら前半3分の1を削ったため、なぜ上海事変が起きたか、読者には分からない結果に終わりました。
 日中戦争は日英戦争・日米戦争と思いもせぬ方向へ、巻き込まれて行きますが、全ては三国干渉から始まっていることを、何らかの形で書き残さねばならないと思います。
 現在私は「丸」別冊で、石原莞爾に取り組んでいますが、石原将軍の場合は亡くなるまで日記を残したり、手紙類を保管されていた関係で、全貌が明らかにされています。
 また「石原莞爾研究会」も存在し、色々な(会員)人が寄稿し、また新資料を発掘しています。
 決して石原莞爾研究会に触発された訳ではありませんが、松井大将の全貌を知るには、資料不足は否定出来ません。
 若い頃の日記、雑誌「アジア主義」にしても公開されておりません。
 「松井石根全集」を作るつもりで、全ての日記(フランス語も含めて)、論文、そして行動、獄中での苦闘などを公開し、松井将軍の本当の姿を、若い読者に知ってもらったら、と私なりに考えました。
 私は「将軍の真実」の前文で「アジアの人たちは松井石根大将に足を向けて寝られない」と書きました。
 文芸春秋の友人、是尭常務(当時、現在評論家)はこの本を読み「実にはっきりしている、よくぞ書いた」と褒めてくれました。
 しかしどの図書館に行っても、この本は本棚に並んでいません。
 答えは「右翼だから」「中国が嫌うから」との理由でした。
 図書館長にして教科書で学んだ知識しかないわけです。
 「それなら、将軍の本当の姿を知ってもらうため全集を作り、孫文の墓場へ届けてやろう」という気持ちになりました。
 今に思えば「中国など助ける必要は無かった。イギリスと一緒になって(日英同盟)、「だまって「阿片漬け」になるのを見守っておけばよかった」などと考えることもあります。
 今、学生の間に「なぜ日中戦争が起きたのか」「なぜ満州事変になったのか」「なぜ太平洋戦争になったのか」と、昭和史への関心が高まっておりますが、そういう学生には「松井大将を知ることだ」と話すようにしています。
 研究すべきテーマは多々あります。
 例えば「マッカーサーと松井石根の占領政策の比較」「アジア開放運動」「パネー号事件交渉」「ユダヤ系メディアへの配慮」「松井将軍が残した財界主導の政権づくり」「乃木将軍と松井将軍」などなど、堀さげるテーマは種々あります。
 ここに、田中正明先生を会長に、「松井石根研究会」を発足し、機関紙(年4回)を発行して各メディア、図書館等を通じて若者達に、広く参加してもらいたいと考えるものです。
 実現の不・可に限らず、ご検討いただければ光栄に思います。
 (興亜観音を守る会会員)


会報16号目次のページへ