松井大将の名誉を回復する秋

水間政憲


松井石根(まついいわね)大将 バブル経済の崩壊は経済にとどまらず、社会全体を覆う倫理観の喪失へと進んだ。
 国家をリードすべきエリート集団が、官庁及び一流企業の指導的立場にあるにも関わらず、犯罪に手を染める状況で、今まさに、我が国は滅びるか再興出来るかの分水嶺に位置しているのである。
 戦後の廃墟の中から復興できたのは、戦場で散華した戦友の分まで努力して、我が国の再興に情熱を注いで下さった戦前派の方々の力であった。
 日本人の美徳でもある「世の為、人の為に尽くす」ことは、仏心、すなわち発菩提心、言い換えると「自末得度先度他」の精神で精進することでもあった。
 現在、閉塞状況の中で叫ばれている構造改革で最優先すべき改革は、精神の構造改革である。
 それは、社会の第一線から、凛とした、戦争を体験した世代が次々と引退して、不和雷同する戦中世代が、政治、経済の中心を占めるようになってから、混乱の前兆を見ることができる。
 それらの問題の根本は、すべて倫理観の喪失から派生しているのである。
 その根本的原因を突き止めることが出来れば、崩壊へと流れている現状を、逆流させることも不可能ではあるまい。
 今回発見した連合国最高司令部民間情報局(CIE)編集の洗脳ラジオ放送「真相箱」の台本を検証して行く過程で、信じがたい実態が明らかになった。
 それは、昭和20(1945)年11月、新聞は連日「餓死者何名」と報道していた状況にも関わらず、マッカーサーは、日本人を徹底的に洗脳するために、11月13日に4百万台のラジオを国民に支給させる命令を出すなど、周到な準備をした国家洗脳計画であった。
 「真相箱」の台本は、小学館文庫より今年7月に、櫻井よしこ氏の解説で「真相箱の呪縛を解く」とのタイトルで完全復刻されたので、これを機に公論を喚起して頂きたい。
 「真相箱」を通読して、日本人は自虐的にさせる最大の歴史問題は、やはり、南京攻略戦の記述である。
 20世紀の熱狂と興奮から醒(さ)めているにも関わらず、より自虐的に流れていく原因は、中・韓の政治的謀略に連動する反日メディアにある。
 覚醒している会員諸賢におかれては、南京攻略戦問題、靖国神社公式参拝問題と、その都度、問題がマス・メディアで過激に報道される時、個人の発言など完全に無視され、じくじたる想いを共有していることであろう。
 興亜観音を守る会の会員として「守る」こととはすなわち松井石根大将の名誉を回復することなどである。
 我が国の歴史論争に於いて、根本的誤解は、南京攻略戦問題を例にとると、中国側の術中にはまっていることが問題なのである。
櫻井よしこ著「「真相箱」の呪縛を解く」小学館文庫 私の友人の共産党員でない中国人留学生複数が南京攻略戦問題に関して、色々と指摘したことは、「日本人は中国と歴史論争をしても絶対勝つ事は出来ない。それは日本人は理屈を言うが、中国政府は理屈を一切言わない事で論争にはならない。中国政府は歴史問題を損得として考え、日本人は真実を知ろうとする」。
 要するに、日本人が覚醒して、言語空間が変化すれば、中国側が歴史問題を損得で計算して問題にしなくなるとのことである。
 そこで、近年出版されている会員諸賢側にたって立証されている本で中国政府が一番嫌がる本を指摘してもらったところ、個々人が一致して、同じ本を取り上げたのである。
 それは理屈を述べているのではなく、淡々と日本人が日本人に語り継ぐ内容の「南京事件日本人48人の証言」(阿羅健一著、小学館文庫)であった。
 この事実を参考に会員諸賢の総力を集中して、「南京事件日本人48人の証言」を10万、20万と普及させることが出来れば、我が国の言語空間を劇的に変化させることも可能である。
 それには、自分用に1冊、親族用に1冊、そして友人に1冊プレゼントする方法で広く普及させる事が出来れば、松井大将の名誉回復と共に、失われた、伝統、文化、歴史を取り戻して、力強く我が国は再興するであろう。
 興亜観音を守る会の方々の健闘を祈ります。 
 合掌 (興亜観音を守る会会員)


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