親切と文化の観光都市建設を目指して

熱海市長 川口市雄

 「興亜観音」第6号の発刊を心からお喜び申し上げます。
 興亜観音を守る会の皆様におかれましては、発足以来、会員相互の優れた協調性のもとに、敵・味方、敗者・勝者の区別無く、すべての方々のご供養と、日本の歴史、伝統、文化を正しく認識することと、世界平和の発展にご貢献されております。
 平成6年11月の創立総会の席でも申し上げましたが、私は子供の頃、父から興亜観音さんは大陸激戦地の血に染まった土を運んで造った観音様で、格調高い由緒ある観音様であり、歴史的にも大変重要なものであるとの話をよく聞かされておりました。
 このようなことからも、興亜観音さんを皆様のご尽力によりまして、護持していただいておりますことに、心から感謝申し上げる次第であります。
 さて、私は、我が街「熱海」が、21世紀に向かって観光都市としてさらに発展するため、将来都市像「ふれあいのまち リゾート熱海」の実現を目指し、現在進めておりますコースタルリゾート計画を中心とした海岸線の効果的利用や観光客、市民の皆様が安心して暮らせる「災害に強い街づくり」等を積極的に推進するなど、官民一体となった新しい活力のみなぎる都市の建設に力を注いでおります。
 現在、私が特に強調いたしておりますことは、「親切」と「文化」による街づくりであります。
 まず、親切につきましては、私は市長に就任して以来、親切運動の徹底を図っております。
 その第一は市の職員が先頭に立って親切な行政を行うこと、第二は観光客の皆様に親切に接すること、第三はごみの無いきれいな街作りを行うこと、第四は住民福祉の充実であります。
 これらのことにより、市民の生活環境が向上し、観光客の皆様にも気持ち良く熱海を楽しんでいただけると考えております。
 また、文化につきましては、昔からの団体、宴会型の観光から、現在の個人、家族、グループ観光の変化に適応するため、先人の残された熱海の歴史を掘り起こすとともに、新しい文化的魅力を創り出すことが、熱海が21世紀に向けて発展するために重要と考え、力を注いでいる次第です。
 観光を基幹産業とする本市にとりましては、「親切」と「文化」を基本理念に我が街「熱海」を訪れる観光客の皆様から、安らぎとゆとりのある、また訪れてみたいといわれる「もてなしの心」をもった街づくりに努めてまいりたいと存じております。
 さらに、熱海市は今年で市政施行60周年を迎えました。
 これを契機にラウンド・パスの運行や熱海七湯湯けむり整備事業などのいろいろな事業を計画、これにより低迷しております熱海の経済を元気づけることが出来ればと思っております。
 私の街づくりについての考え方の概略を述べてまいりましたが、興亜観音さんにつきましても、また一味違った文化施設として活用させていただくことを検討する必要があろうかと存じますので、皆様のご助言をいただければ幸いに存じます。
 末筆になりましたが、会員の皆様におかれましては、世界の人々の願いであります。
 恒久平和の確立のために、興亜観音様のご隆昌に更なるご支援を頂きますようお願い申しあげます。


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