観音尊像と隷書観音経
清水正尚
平成7(1995)年、書心書道院展覧会を東京・渋谷で開催した。
毎朝未明に起出でて水垢離をを取り、聖観音像を謹写されている当院師範・黒磯教室長、谷中田一男氏(号定根)は、観音尊像と隷書観音経六百四十二字を画仙全紙に謹書出品、書心書道院賞なる高位入賞を果たされたが、これを興亜観音に奉納された。
その納経賦三十首を寄せられたので、茲(ここ)に五首を御紹介申しあげたい。
氏は那須牧場主、少年剣士の家「青雲塾」塾頭でもある。
「興亜観音を守る会」は、参議院議員板垣氏や関東戸山流居合道会会長徳富太三郎氏等をはじめとして陸軍士官学校58期が中心となって推進中であるが、谷中田氏もその同期生の一人である。
納経賦 (抜粋)
紺碧の海を見おろす観世音
慈顔やさしき久遠の微笑
半歳の時をかさねて書きうつす
観音経を堂守桶する
五月陽は正に天心燦々と
伊豆山頂の新緑照らす
切通しの坂に並びてささやくは
みやこわすれの花のむらさき
観世音導き給ふ納経の
旅に無上の出会ひを得たり
合掌
(書心書道院 院長)