混迷の現代を救う道

小宮賢孝

 憲法を改正し、東京裁判史観を払拭しなければ、この混沌とした混迷の祖国日本を救うことは出来ない。
 日本憲法は欧米流の民主主義を根本模範としている。
 その根本理念は自由と平等であるが、この自由と平等には大きな矛盾がある。
 自由は平等に作用すべきものとすれば、Aの自由がBの自由を侵害するようでは、まことの自由とは言えない。
 総てに平等に作用するものは、ただ真理のみなのである。
 まことの真理に立脚した自由でなければ、まことの自由ではないのである。
 所詮、人間には我欲がある。
 また、人間はお互いに人格の未完成な存在であり、妄想に陥り易いものである。
 我欲の暴走を押え、妄想の暴挙を鎮圧しなければ、人間社会の平和は保ち得ないのである。
 誤れる東京裁判史観は妄想の産物である。
 これを払拭し、正しい歴史を取り戻さなければ、祖国日本の明日は無い。
 その為には、祖国日本の根本国是を再認識しなければならない。
 わが祖国日本の根本国是は、天壌無窮の御神勅と、三種の神器の御精神である。
 この事は、我々の祖先が、有史以来のみでも2千数百年に亘り護り通してきた歴史的事実なのである。
 御神勅の本旨は、天皇を中心として、神の国、仏の国を造ることである。
 三種の神器はそのための心得を表す。
 鏡はありのままの姿を写す、正直の本源である。
 御神鏡には、我心、邪心を取り払った純真無垢な心で国を治めよ、との、皇祖の御心が宿っている。
 皇統を流れる無私の理念はここより発している。
 勾玉は数個の玉が穴を通して1本の紐で結ばれて1つの環となったものである。
 個々の玉にはそれぞれに特徴がある。
 この勾玉は、人々のそれぞれの知恵を集めて進化を図り、和を求めよ、との、皇祖神のみ教えである。
 草薙の剣、み剣は、我欲に打ち克ち、邪心、妄想を打ち払う強い意志、事に当たっての勇気、決断の象徴である。
 剣は、それを扱う人の心次第により、殺人剣、活人剣に分かれてしまう。
 憎悪のもとに用いる剣、邪心のままに振るう剣は殺人剣である。
 真の平和は、我欲の暴走を押え、妄想の暴挙を鎮圧することにより保たれる。
 人間が人として真に戦わねばならぬ敵は、我欲と妄想なのである。
 この祖国日本の根本的是正は、記紀の神話に基づく。
 神話には、神のみ言葉、御神託がしるされている。
 これは、心眼で観、心耳で聴かなければ解し得ない。
 戦後の進歩的知識人と称する人達は、記紀を無視し、魏志倭人伝等をもとに日本歴史を作ってしまった。
 これが学校教育で行われている。
 我々の祖国日本には、祖先が作った古事記、日本書紀という立派な歴史書がある。
 外国人が作った歴史書は参考に止め、記紀による日本歴史の再建こそ、祖国日本を救う道なのである。
 これを無くしては、皇室の完全なる護持は出来ない。

 昭和天皇御製

 悲しくもたたかひのためきられ
 つる文の林をしげらしめばや

 この御製は昭和天皇の記紀による日本歴史の復活を願われてのお言葉と拝している。

 明治天皇御製

 あまてらす神のさづけしたから
 こそ動かぬ国のしづめなりけり

 祖国日本の根本国是の確認こそ、混迷の現代を救う道なのである。
 (日本防衛研究会)


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