2014年2月20日 (共同通信)

 中国、外国メディア対象に大虐殺記念館ツアーを実施

 歴史問題などで日本批判を強めている中国外務省が19日、中国駐在の外国メディアを対象に、江蘇省南京市にある「南京大虐殺記念館」などを見学するプレスツアーを実施した。
 NHK経営委員を務める百田尚樹氏が「南京大虐殺はなかった」などと持論を述べたことに、中国外務省は「歴史の抹殺と歪曲」などと反発しており、ツアーを通じて大虐殺を否定する日本国内の勢力を孤立させたいとの思惑がありそうだ。
 
 同記念館の朱成山館長は、百田氏の発言を取り上げ「これほど明確な証拠があるにもかかわらず歴史を否定するのはばかげており、(発言には)政治的な目的がある」と強く批判。日本の一部の右派勢力は「戦後秩序や東京裁判を否定しようとしている」とし、そうした勢力が「メディアを操作するのは許されない」と語った。

 同館では、家族を殺された88歳の女性が自身の体験を記者らに語った。
 ツアーでは南京市の公文書館も訪問。職員が、旧日本軍の戦争犯罪を裁いた南京軍事法廷に証拠として提出されたという文書を報道陣に開示し、王?副館長は「虐殺が実際にあり、それを否定することはできないことを示すために見せた」と述べた。

 ツアーには、米国や英国、フランス、イタリア、ロシア、韓国などの8カ国・地域の25社のメディアから42人が参加。欧米メディアの記者の1人はツアーについて「百田氏の発言への対抗措置であるとともに、靖国神社を参拝するなど対中強硬姿勢を強めている安倍政権へのけん制の意味もある」と分析した。