2014.4.4

 南京市が旧日本軍の「慰安所」保存 記念館計画で中国、韓国と共闘

【上海=河崎真澄】中国江蘇省南京市が旧日本軍の慰安所とされる廃屋の保存を決定し、地元の研究家らが隣接地に「慰安婦記念館」の建設を計画していることが3日、わかった。完成後は中国共産党指定の「愛国主義教育基地」として「南京大虐殺記念館」の傘下に置くことを目指しているという。中国はこれまで慰安婦問題を対日外交カードとして積極的には使ってこなかったが方針転換し韓国と足並みをあわせる姿勢を明確にしたといえる。

 南京市が建物の保存を決めたのは3月12日。2003年から南京市に建物の保存を求めてきた南京師範大元教授の経盛鴻氏(69)は、同市がこのタイミングで決定した理由について「韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が昨年6月に訪中した際、習近平国家主席との首脳会談で、歴史問題を重視することで合意したからだ」と説明する。

 経氏によると、「慰安所」は敷地面積4800平方メートル上に7棟の木造家屋が現存。1937年末の旧日本軍の南京入り後、順次建設されたようだ。駐車場になっているエリアも含めれば、当時の敷地面積は8千平方メートルに上ることから、経氏は「アジアで最大の慰安所」と主張する。最大で100人前後の女性が居住していたとしている。

経氏らは現存する建物を保存し、隣接地に「慰安婦記念館」をつくり、慰安婦にまつわるさまざまな陳列物を展示する計画をたてている。

 南京市は産経新聞の取材に「保存するという方針は決まったが、管理主体が市、江蘇省、国家のどれになるかの議論はこれからだ」と説明した。

 中国政府が昨年末、慰安婦問題に関する研究費として、「慰安婦問題研究センター」を持つ上海師範大に2016年末まで80万元(約1320万円)の拠出を決めたことも判明した。慰安婦問題の研究に中国政府が予算をつけるのは初めてという。予算は同センター関係者らが吉林省長春市にある関東軍司令部旧跡から発見したという資料10万点の調査・研究にも使われる見通し。