2014.4.27

中国の対日“歴史戦”欧州巻き込みさらに 外国元首で初、デンマーク女王「南京大虐殺記念館」訪問

 【上海=河崎真澄】

 中国国営新華社通信は27日、訪中しているデンマークのマルグレーテ2世女王が江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を参観したと伝えた。外国の国家元首が同館を訪れるのは初めて。
 
 同館での女王の発言は伝えられていない。参観は約20分間。女王の中国訪問は35年ぶりで、24日には北京で習近平国家主席と会談した。

 習主席は先月28日、ドイツ訪問時の講演で、旧日本軍によるいわゆる南京事件で、「30万人以上が殺害された」と主張していた。
 
 歴史認識問題で、中国はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の過去を持つドイツの戦後対応と対比して、日本への批判を強めている。

 新華社電は、南京事件のあった1937年と、その翌年にかけ、デンマーク人1人が“避難施設”を南京に置き、数カ月間で2万人近くを救助したとしている。
 
 中国側がこうした話を手がかりに、女王に参観を働きかけたとみられ、中国が対日「歴史戦」で、欧州を巻き込む姿勢を改めて鮮明にしたと受け止められる。女王は同館参観後、同省蘇州市に移り、世界遺産に登録されている庭園「拙政園」を約30分間散策した。