はじめに
「南京大虐殺」といった場合の"大虐殺"の定義については、すでに触れた通りであるが、南京における中国側犠牲者についても、多くの場合、勘違いしている点が多い。
マスコミなどで言われる、虐殺された犠牲者とされている死体には・・・南京攻略での戦闘による戦死者も、敗残兵の掃討作戦での摘出や国際法違反の平服をまとった便衣兵の処刑等を一切区別することなく、全てを日本軍による虐殺数としているところ自体に大きな問題がある。
南京で虐殺されたと称する数は、東京裁判では12万7000あるいは約20万、(松井大将の個人判決は10万)、中国側は30万と称しているが、最近は40万とさらにふくれ上がっている。
また虐殺派を代表する故・洞富雄氏は約20万といい、笠原十九司氏は十数万とし、中間派ともいえる秦郁彦氏は約4万、事件派と称している故・板倉由明氏は6000〜1万3000、畝本正巳氏は3000〜6000とそれぞれまちまちである。
それらの数字的根拠は別として・・・
ここで問題になるのは、非戦闘員、便衣兵、投降兵、捕虜、敗残兵等の分類である。
これらはそれぞれ性格を異にする。
これら犠牲者の分類について畝本正巳氏は、『証言による「南京戦史」』〈最終回11〉で次のように分類している。
妥当と思われるので引用させていただく。
区分 | 死亡の状態 |
戦死者 | (1)南京防衛戦で戦死した者 (2)退却、逃亡の際、射撃を受けて死亡した者 (3)敗残兵狩りで射殺された者 (4)便衣兵で摘出され処刑された者 |
準戦死者 | (1)個別に投降したが殺された者 (2)戦場に残留して中国軍に協力したため、あるいはまきぞえを食って死亡した一般市民 (3)便衣兵狩りのそば杖をくって死亡した者 |
不法行為 | (1)集団投降捕虜、個別投降捕虜で収容後殺された者 (2)無抵抗の善良な市民(含む婦女子)で殺された者 |
南京戦における死亡者をこのように分類すると、その大部分は戦死または準戦死者である。
南京事件において、問題視される該当行為そのものは死体が発生する
いわゆる南京事件の“虐殺”事件と一般的に主張されるものは、国際法において不法行為に該当する殺害以外考えようが無い。
ただ個別的投降兵は、その場で射殺されることが多く、便衣兵狩りのそば杖をくった一般市民は、遺憾ながら当時の戦況上やむを得ない面もあった。
しかしながら・・・善良な市民を日本軍が集団殺害したという記録はどこにもない。
このことは後から述べるが、ともかく問題は「不法行為」による犠牲者がどのくらいあったかという点であろう。
読者は、この分類をまず念頭におかれて、以下、18項目にわたる「虐殺否定の論拠」を読んで頂きたい。