「侵略の暴行美化」
南京事件検証集会 中国外務省も反発

 【北京18日=山本秀也】
 大阪の市民団体が「20世紀最大の嘘(うそ)南京大虐殺の徹底検証」と銘打った集会を23日に「ピースおおさか」(大阪国際平和センター)で計画している問題で、中国外務省の朱邦造報道局長は18日、「歴史の事実を改ざんし、侵略の暴行を美化しようという右翼勢力の意図は明かだ」として中国政府・国民の「きわめて大きな義憤」を表明した。
 中国政府当局者がこの集会に関して公式に論評したのはこれが初めて。
 報道局長は日本政府に対してすでに「厳正な申し入れを行った」ことを明らかにした。(「産経新聞」平成12年1月19日掲載)


産経抄

 大阪の「ピースおおさか」(正しくは大阪国際平和センター)といえば、ニセ写真展示などで問題の博物館で知られている。小欄も悪口を書いてきたが、こんどはどうやら筋を通してくれた。
 ▼この23日、市民団体が「ピースおおさか」で「20世紀最大の嘘(うそ) 南京大虐殺の徹底検証」という集会をひらく予定をたてた。
 ところがそれに対し、在阪の中国総領事館が「施設を貸すな」と管理者の大阪府と大阪市に申し入れてきたのだという。
 ▼総領事館のいいぶんは「集会は歴史を否定し、事実をわい曲する」というものだが、ご承知のように歴史の認識の仕方は国により、民族によって多様である。光のあて方によって“事実”なるものもまた必ずしも真実ではない。南京事件も研究者によってさまざまな見方をされている。
 ▼従ってその市民団体の主張や見解もそれなりに尊重されなければならず、公共の施設を使用する権利をもつ。表現の自由は封殺されてはならないのである。だがそれにもまして重大な問題は、中国総領事館がそういう行為は内政干渉になることをわきまえていない点だろう。
 ▼実は前にも同じような問題が起きた。平成8年3月のこと、「長崎原爆資料館」で在長崎の総領事館が“南京大虐殺”の写真を展示することを要求し、長崎市長はその圧力に屈して検証もしないまま「泣き叫ぶ婦人の連行写真」を出した。
 ▼ところがそれは、戦時中の中国側の宣伝映画『中国の怒吼』の1コマ、つまりやらせの写真であったのである。中国側の主張は主張として理解するが、「施設を貸すな」とは横車もいいところだ。筋を通した「ピースおおさか」の姿勢は至極当然である。
(「産経新聞」平成12年1月19日掲載)


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