雑誌『WiLL』2012年5月号掲載、
溝口郁夫“証拠写真はデッチあげ”のずさんな論文の間違いを指摘する

※溝口郁夫は、東中野修道著『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社)では、福永慎次郎という偽名にて登場しており、自身も認めた。ちなみに2005年5月25日に草思社にて、抗議を行った際に東中野修道氏は「偽名では無く、実名である。」と偽証を行っている事が判明した


 現在、昭和13年(1938)7月に刊行されたH・J・ティンパーレーに関する著作について、意図的なのか判りませんが、原本名などを全く意図と異なる名称で呼ぶ連中がおり、余りにも酷い事となっています。
 H・J・ティンパーレーは、鈴木明著『新・南京大虐殺のまぼろし』(飛鳥新社)及び、北村稔著『「南京事件」の探究』(文春新書)などにおいて、国民党中央宣伝部の秘密宣伝員であったことが発表されました。

 これは、悪意無き第三者である外国人のティンパーリーが、日本軍によって南京陥落後に記録された虐殺の事実として、虐殺肯定者達に寄り引用されて来ましたが、これらの著作によりそうでは無い事が判明しました。
 『What War Means(戦争とは何か)』であり、これらについては、ロンドン版、ニューヨーク版、中国語(漢口)版、日本語版もあり、カルカッタ版も存在していると言われている。

 ここ最近、この『What War means』を、中国語版(漢口)の『外人目睹中之日軍暴行』のタイトルを使い回し、その上、他資料との分析の間違いを平然と言い放つ人物が、雑誌『WiLL』(2012年5月号)等に登場し、これまた困った状況となっている。
 そこで、幾種類かある『What War means』(『戦争とは何か -中国における日本軍の暴虐―』)を提示してみたい。

 さらに述べておきたいのは、H・J・ティンパーレー著『戦争とは何か』の題名を意図的にミスリードさせようとしているだけならまだしも、昭和13(1938)年7月に、当時の中華民国国民政府軍事委員会政治部発行の『日寇暴行実録』に掲載されている写真をロクに入手しておらず、さらに分析も行っていないために、完璧な間違いを意図的なのか?わざとなのか行っている点である。

 以下、それについて雑誌『WiLL』2012年5月号の文章と共に、指摘して行きたいと考える。

1.What War Means の各国版について 

 ロンドン版、ニューヨーク版共に写真が掲載されておらず、現在入手出来ているのは、戦時中の邦訳『外国人の見た日本軍の暴行』(235ページ。1972年、リプリント版が龍渓書舎から漢口されている)であり、これは中国語訳の『外人目睹中之日軍暴行』の重訳本と言われている。(青木書店、1985年、洞富雄編『日中戦争南京大残虐事件資料集』第二巻より)

 ・龍渓書舎の写真掲載ページ(PDF)

 『同じようにティンパーリーの WHAT WAR MEANS には、出版と同時に中国語版が出現した。楊明訳『外人目睹中之日軍暴行』(国民出版社、民国二十七(一九三八)年七月、漢口)である。英語訳版との同時出版という手回しの良さは、ともに戦時宣伝に携わっていた国民党国際宣伝処と国民政府軍事委員会政治部との連携作業の結果であろう。』(北村稔著『「南京事件」の探究』文春文庫、124~125ページ)
 ちなみに、今まで研究者皆が「戦争とは何か?」とティンパーレーの著書を呼んでいたのを、あえて『外人目睹中之日軍暴行』と呼ぶのは、何か理由が有る事は明白だが次著か論文にて説明をしたいと考えている。

 ・『外人目睹中之日軍暴行』の写真掲載ページ(PDF) ←この文献は「財団法人 東洋文庫」にて請求番号2026にて所蔵されている

2.2012年5月号『WiLL』に掲載された、溝口論文の完全に間違っている箇所を指摘する

 余りにも単純過ぎるミスだらけなので、簡単に説明する。

 @ 83ページ下段、写真A 『初出は『日寇暴行実録』。誰のものか不明な影、立ってみている兵士の視線がバラバラ、など不自然な点が多い。合成写真であろう。

 【答え】2008年に朝日新聞にて別角度から撮影した写真の存在がある事が判明している。つまり東中野、溝口の書籍で合成写真であるという主張は成り立たなくなっており、視線がバラバラである事が合成の根拠とはなり得ない。ちなみにこの視線に関しては松尾が1999年に国民新聞にて発表した際の検証記事を、溝口及び東中野修道がそのまま無批判に盗用した為に、この様な結果となってしまっている。「国民新聞」平成11(1999)年1月25日記事=『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社)90ページと見比べて欲しい】

 A 84ページ中段、『昭和十三年七月に出された漢訳版の国民政府軍事委員会政治部編『日寇暴行実録』(現在はスタンフォード大学フーバー研究所所蔵)には、写真が39枚・・・

 【答え】『日寇暴行実録』には、170枚の写真と解説が掲載されており、溝口は一切原本を入手しておらず、確認も行っていない。余りにもいい加減な調査にて断定。


 雑誌『WiLL』は、南京事件に関してロクに調査もせず、適当な引用や盗用を行う人物達の検証を一切行う事が出来無い上に、溝口、茂木弘道の様なインチキ研究者の適当な論文ばかり掲載を行っており、研究者を冒涜しているとしか言い様が無い。
 しかもロクに資料を入手や、調査していないことが明白である、全く情けない・・・。これが雑誌『正論』であれば、即座に掲載は行われず、知識のしっかりした編集者が検証がしっかり行うので、この様なミスは起きえない。
 これは、2007年11月の茂木弘道論文と同じミスである。全く成長していない・・・呆れるだけだ。
 南京事件研究者を冒涜しているのか?とさえ、感じる。