APECに受け継がれる「大東亜共同宣言」の理想

 昭和18(1943)年11月に発せられた大東亜共同宣言には、
 「大東亜各国は相提携して大東亜戦争を完遂し大東亜を英米の桎梏(しっこく)より解放して其の自存自衛を全(まっと)うし左(HP作者注:ここでは下の事です。)の綱領に基づき大東亜を建設し以って世界平和の確立に寄与せんことを期す」
 とある。
 すなわちアジア全体が植民地から解放され、自存自衛を果たすことによって世界平和に寄与することを目指したのである。
 そのために次のような綱領が掲げられた。(ここでは5つの綱領の内3つを掲げる)

一、 大東亜各国は協同して大東亜の安定を確保し道義に基づく共存共栄の秩序を建設す
一、 大東亜各国は相互に自主独立を尊重し互助敦睦(ごじょとんぼく)の実を挙げ大東亜の親和を確立す
一、 大東亜各国は互恵の下緊密に提携し其の経済発展を図り大東亜の繁栄を増進す

 かくのごとき日本の理想の基に大東亜の戦いを遂行したのであるが、平成5(1993)年秋のAPECのシアトル会議で採択された「アジア・太平洋経済協力貿易・投資枠組み宣言」の中には次のことが明記された。

一、 アジア・太平洋地域の開かれた地域主義と市場経済に基づく相互依存関係の一層の発展に努力する。
一、 各国の発展的段階や社会政治体制の相違を認識するとともに、途上国の要望にも十分配慮する。
一、 世界の貿易・投資に関し、APECが活力ある相互依存のビジョンを示し、域内の相互利益を代表することを、世界に示す。

 これらの内容は、まさに我が国が大東亜共同宣言において示した、アジア諸国がお互いの自主独立を尊重しながら、かつ互恵の精神で緊密な協力の下に経済的発展を実現し世界に寄与するとの理想をそのまま受け継いでいると言える。
 大東亜戦争において掲げられた理想は半世紀を経て実現化の大きな一歩を踏み出し始めようとしていると言っても過言ではない。
 大東亜戦争における英霊の輝かしい行為がアジアを世界の中心舞台に登場させ、21世紀を主導する力を与えんとしている。
 大東亜戦争を侵略戦争として断罪し、他国に謝罪することによって国際協力を果たそうとするのか、あるいは大東亜戦争の果たした役割と意味に誇りを持ち、歴史の継承から世界に貢献しようとするかは、同じ世界への寄与でも全く違ってくる。
 未だ世界には、大国によって植民地化されている国や地域、また大国によって圧政をうけ、事実上植民地主義の犠牲となっている国や地域が数多くある。
 それらを解決する為に国力を傾けることこそ、世界平和に貢献する道であるが、そのことを遂行する力の源泉は前者からは決して生まれず、後者によって初めて生まれることを私達は知らなければならない。
 その誓いこそが、大東亜戦争の終結から50年を経ようとしている今日において重要なことではなかろうか。


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