若い会員をふやしたい
大塚英作(会社員)


興亜観音の本堂(下写真)
興亜観音神社を正面から見たところ
興亜観音の本堂内に飾られている
松井大将(中央)やパル判事(右端)の写真
84年5月18日撮影です。

 「興亜観音を守る会」が発足して以来、静かに会員の輪が広がりを見せているとのことで慶賀に耐えない。
 かねてから私は、興亜観音を守ることは日本を守ることと考えていた。
 観音像が建立された昭和15年ごろのアジアは西欧の長期に渉る非道な搾取(さくしゅ)に疲れ、無気力の極にあった。ひとり独立を保ったわが国の青年達の多くがアジアの同士と共に復興に情熱を燃やし“興亜”は、全アジアの悲願であった。
 第二次大戦の勃発に続き昭和16年には大東亜戦争が始まった。西欧の植民地支配にも限度があり、起きるべくして起こった戦争であった。善戦の末、わが軍は敗れ勝者の価値観を強制される結果となった。
 爾来(じらい)50年、今日の状況は勝者は冷戦に疲れ往時の勢い無くアジア各国はバンドン会議(昭和30年)前後に独立を果たし、その成長は世界の注目を集めている。
 「アジア人のアジア 欧米と対等にに協力できるアジア」という先人松井石根の理想――興亜の大業が現実となりつつある。
 歴史は勝者の記録であるという有志以来の通念は消え、敗者の理想が歴史を形成しつつある。「力は正義」に非ず、誠に天行健なりというべきである。
 然しながら占領政策というフィルターを通して物を見ることに慣らされた日本人は、このアジアの現実を直視出来ない。その結果としての自虐的世界観が青年の善意を蝕(むしば)み祖国の前途に不安と不信を抱かせる。
 今、ミャンマーの町には「雄叫び」の調べが流れている。
 このことの意味を理解できる日本の青年がどれほどいるだろうか。
 アジアは未だ貧困で脆弱(ぜいじゃく)である。日本の支援と協力が必要である。日本の青年たちが「興亜」を主題として日本の近代・現代・近未来について学び真の歴史を理解し謙虚な使命感に燃える時、東亜の大光明を仰ぐことができる。
 「興亜観音を守る会」に若い会員をふやし、青年の意見もいれた運営を図る事が望まれる。
 「日本を守る」とは自戒と自負をもって自主的に主張と貢献を続けることであり、それが究極の鎮魂になると思うのである。


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