祥月命日

開 勇
(本会理事 写真右端が筆者)

 毎年12月23日、興亜観音において殉国法務死一〇六八柱の慰霊祭が執り行われます。
 当月は東條閣下以下四十二柱の祥月命日でもあります。
 ご遺族、縁故関係者が集まり、午後一時に法要は始まります。
 慰霊追悼の勤行、読経を拝聴しつつ、ひたすら祖国の安泰を祈り、尊い命を捧げられたご英霊の胸中をお偲びする時、胸は張り裂け、血は逆流するような思いを覚えます。
 あれから五十有余年、長い年月は人々の記憶を風化し、敗戦の悲劇を忘れ、戦争を憎むの余り、自らの国家を否定し、殉国の烈士にも一向に関心を持たず、利己的欲求と享楽とを求めるばかりか、ご英霊の功績や尊厳を傷つけるような世相となっておりますことは残念でなりません。
 み国に殉じた人々の慰霊顕彰は、世界各国尽くが実施しています。
 平和に暮らせる現在の幸せを報告し、感謝の気持ちをもってのみ霊が安らかにましますよう祈りを捧げるのです。
 敗戦後、平和は享受しましたが、残念なことに日本人は一番大切な"心"精神を失ってしまいました。
 降って湧いたような夢にも思わぬ自由に翻弄され、虚脱感におちいり、人間として生きてゆく上で最も貴重な"心"を忘失してしまいました。
 今こそ日本人は原点にたちもどり、日本人として恥ずかしくない行動を起こさねばならぬ時であります。
 恥とは何か、美と醜、正と不正、善と悪とを識別する知慧であります。
 生き残った者の務めとして感謝の心、自らを省み、恥を知る人間として慰霊参拝を続けたい思い切なるものがあります。
 本年は東條閣下以下二十柱の五十回忌を迎え、奇しくも松井閣下のお言葉に関する資料が入手できましたことは、偏にみ佛のお導きと感謝しております。(2、興亜観音の部下英霊に捧ぐ)
 法要参列者は高齢化とともに年々少なくなって参りましたが、最後の一人になっても慰霊参拝は続けたいと念願しております。


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